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譜面 [#566]

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譜面が次の音を命令している
夜はどうしようもなく朝に向かい
星は圧倒的な距離を踊る

眼前に映し出された映像は
涙の所為でより美しく
譜面から外れた音も耳に心地よい

じっくりと夜を吸い込み
涙を味わおう

譜面が次の音を命令している
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by isshaissou | 2013-09-28 13:47 | 一写一想

物語 [#565]

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静かなアトリエでは

ひとつの物語が描かれている



鉛色のモノクロームの色彩に

一色の赤

その赤は瘡蓋を剥がした時の鮮血の様で

うつろな眼差しの人物にかすかな生を与えている



どうして生きているのか

女性は問い続けている



鳴り止まない心臓の鼓動の速度をあげれば

それは早く止まるのでしょうか



息が切れ

身体から溢れてくるものは

悲しいけれど皆暖かく

だから尚更

その問いは大きくなる



誰かの手を握っては

傷を付けてしまう程に

私の手は荒れていて

いつも血がにじんでいる



かつて

冬の帰り道に

手を繋いだことがあった

暖かいねと

かじかんだ手を包まれながら



生きていてもいいのだと

唐突に感じた



今ではその生に理由を求めている

どうして

どうして



見つかる事のない問いを掲げて

走っている



ずっと前から分かっている

そんなことは分かっている



描かれた女性は

赤い涙を流しながら

雪の降る公園に立っている
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by isshaissou | 2013-09-22 10:43 | 一写一想

記憶と時間 [#564]

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記憶が風のように去って

明日を待つ理由もなくなれば

私は空になれるでしょうか


多くの記憶たちが

時系列など関係なく

現れて消えていきます


原っぱに身をあずけ

映画の始まりを待つ時のように

ここはとても静かです


色の変化は時間と関係があるようです


記憶が風のように去って

明日を待つ理由もなくなれば

私も空になれるでしょうか
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by isshaissou | 2013-09-22 10:10 | 一写一想

手記 [#563]

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前略

誰にも奪われる事のないものを

わたしもいくつか持っていたらしい

交換可能なものばかりならどんなに楽だったかと

あれから今日を重ねている



生まれて残る

いままでの昨日

なくなっておくれと願っていたそれらに

救われて笑う事もできる


敬具
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by isshaissou | 2013-09-22 00:42 | 一写一想

秋の初めの風 [#562]

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話したかった人がいる

時間を気にする事なく

同じ秋の初めの風を嗅ぎながら

いままでの後悔や悲しみを

毟った草を風にのせるように

話したかった人がいる
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by isshaissou | 2013-09-22 00:24 | 一写一想

列車 [#561]

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「物語を読み終えた方はお降り下さい」

録音されたアナウンスが停車駅で鳴る

ここで降りた人は3名


列車は金属の摩擦音を立てながら再び走り出す


この季節の始めに読み始めた本はまだ終わる気配はなく

小さな窓から入る風のにおいも次第に変わっていく

列車が進んでいるからか時間が過ぎているからか


少年は遺書を読み続けている


「物語が終わる頃が目的地です」
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by isshaissou | 2013-09-22 00:17 | 一写一想

夕方の生暖かい風 [#560]

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夕方の生暖かい風

死のイメージと死の獲得には大きな距離がある

夕方の生暖かい風

どこかで赤ん坊の泣き声がする

母は赤ん坊に近づく

夕方の生暖かい風

明日のイメージと明日の獲得には大きな距離があるか
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by isshaissou | 2013-09-15 15:06 | 一写一想

アトリエ [#559]

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梅の花が咲くのを待ちながら

鉛筆の芯を削っていた

画面にはわたしがいて

物語の中でも感じるいくつかの不自由さに

いつも自分でも可笑しくなってしまう


お湯を沸かしていたんだっけ

青い菊の入った紅茶の香り

十分に吸い込んでから私はカップに口をつける


どうしてこんなに急いでいるのと

私は声をかけたことがある

風のように去った後だったので答えは聞けなかったけれど
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by isshaissou | 2013-09-15 14:30 | 一写一想


わたしの日常をどうぞ、あなたの日常は美しいですか?


by isshaissou

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